ソメワケササクレヤモリの飼育〜繁殖
和名 ソメワケササクレヤモリ
学名 Paroedura pictus
英名 Madagascar Ground Gecko
他に Big Headed Geckoなど
■ 特徴・他
マダガスカル南・南西部の乾燥地(森林・岩場・砂地など)に生息。夜行性で昼間は岩や倒木の下や穴の中などに隠れています。大きめな頭と大きな目が、かわいいヤモリです。
サイズ的には12〜15cm(アダルトサイズ)で♂の方が若干大きくなる傾向があるようです。繁殖力も旺盛でちょっとした飼育技術があれば繁殖も容易です。

動きは思いのほか早いです。ハンドリングは難しいかも・・・と言うかハンドリングする必要は無いかと思います、事故防止のためも。
尾を自切りすることがあります。再生はしますが、元のようにはなりません。でも、移動のためなどに手に持つことなどはありますが、よほど手荒くしない限り自切りはしない感じです。
ただ、個体を掴んだりしての自切りは、殆どの場合問題ない(再生する)のですが、何もしないのに尾を自然に自切りしてしまった個体は注意が必要です。この場合常になんらかの強いストレスを感じている物と思われ、数日後死に至る場合があります。我が家でも自切りの後、数日で死に至った個体がいます。
尾にはレオパのように栄養(脂肪?)を蓄えることが可能だと言われてます。

垂直な壁を登ることは出来ませんが、一応爪の両側に趾下薄板を持っておりベビーの内はある程度垂直面を登ることが出来ますので、フタは必需品です。なお、配線コードなどを伝って登る事もありますので、注意して下さい。

■ 飼育設備
■ゲージ
ゲージはなんでも良いのですが、単独飼育ならよほど大きな個体でない限り、底面積が20cm×15cm程度あればなんとか終生育成可能だと思います。高さはフタがあれば15cm程度で十分です。
我が家では現在PC−1(231×156)をメインに使用しています。脱着可能の仕切付で便利です。しかも仕切部分の上部も隙間が少ないので、他の壁チョロ系のベビーでも仕切って使えます。以前、他メーカーの仕切付のケースで管理していたとき上部の隙間から移動して交尾しちゃった事があり、それからはこのケースに切り替えました。価格はちょっと高めなので箱単位(10個入り)での購入しています。
アダルト個体は仕切無しで、ベビーには仕切を入れて1頭ごと単独管理しています。アダルトの♂同士でなければ複数同居も可能なのですが、事故・健康管理面などから言えば、単独飼育が絶対オススメです。このゲージに床材を敷き、シェルターと水入れを設置しています。

種親の♀個体だけは、一回り大きいケースで管理しています。これはシェルターの代わりに産卵床(赤玉土を入れたタッパ)を設置しているためです。それと交配時には♂のみこのゲージにの移動させます。♀に負担がかからないという点でも良いかと思っています。

■床材
床材はキッチンペーパーなどでも代用可能です。ただ私の経験では、餌のチビコオロギなどが紙の下に潜り込んだり、個体自体が潜り込んだりしてちょっと使いづらかったです。現在はベビー育成時から目の細かい床砂(ネティブサンド等)を使用していますが、今のところ問題ありません。

■シェルター
夜行性であるという点、ストレス回避などのことから必ず必要だと思います。昼間は殆ど入ったままですね。脱皮時の手助けになればと素焼きの鉢を割ったかけらで代用しています。

■水入れ
必ずしも必要というわけでは無いですが、水分補給のため設置しています。我が家はペットボトルのフタです^^
霧吹きが毎日確実に出来る方なら不要だと思いますが、飼育下では加温等により乾燥しすぎもトラブルの原因になります。今までの飼育から言うと、乾燥系のヤモリでも飼育下の場合は湿度がある程度あった方が調子良いです。
霧吹きもほぼ毎日行っています。

■ 餌・日常管理
餌はコオロギメインです。
餌には必ず、カルシウムやビタミン・ミネラル等の添加剤のダストを行います。この種もカルシウム不足は命取りです。特に産卵期の♀の場合はカルシウム不足により卵の殻が柔らかくなったり、産卵後にクル病などが出やすくなります。
我が家では今までピンクなどは与えたことがありません。コオロギのみでもしっかりカルシウム等ダストして与えれば、全く問題無いと思われます。ソメワケもレオパのように尾に栄養を貯めることが出来るようで、しっかり食べてる子は尾も太くなってきます。

餌の量は、アダルト個体でイエコLサイズを1日1匹程度です。産卵期の雌には1日2〜3匹与えています。
成長期の個体には頭のサイズより頭のサイズよりも少し小さめ(長さ的に)のイエコを1日2匹程度与えています。次の日残してる時は給餌を1回とばしたりして様子見ています。この場合残した餌はそのままにしておかずに取り上げておく事が必要です。

■ 温度
自作室内温室内で飼育していますが、冬季で24〜27℃、夏期で27〜33℃ぐらいです。夏期以外はゲージ下からもシートヒーターで加温しています。ゲージの半分がシートヒーターにかかるように設置しています。
照明・紫外線などは必要ありません。昼夜のサイクルをつけるために設置されてる方もありますが、ゲージを設置する場所が昼間多少でも夜より明るくなる場所であれば、それで充分ヤモリたちは昼夜を感じとっていると思われます。

■ 性別
性別は、生後2ヶ月ぐらい経つと雄個体はヘミペニス(交尾器)をしまっておく袋が尾の付け根に発達し膨らんでくるので容易にわかります。ソメワケの場合は背中からでもはっきり確認できるほど膨らんできます。
(良い画像が無くてスミマセン、わかりずらいですが黄マル印の中央部分が膨らんでます。画像は♂個体です)
■ 繁殖(ペアリング〜産卵)
ソメワケは生後8〜10ヶ月で成熟すると言われていますが、実際には生後3ヶ月〜半年ぐらいで卵を産める状態になってしまうようです。
我が家でハッチした♀個体は生後75日ほどで無精卵を産みましたし、現在産卵中の二代目そめっちも生後半年でバンバン卵産んでます^^

雄がいなくても卵(無精卵)を産むので成熟度の見極めは簡単なんですが・・・ただこの時点でまだ体力的に未熟だと産卵後にカルシウム不足等で調子を崩すこともあります。私は1代目そめっちを初めての産卵(無精卵)の後落としてしまいました。
よほど飼育に自信があれば別ですが、十分に成長させ、体力をつけさせてからの方が安心かと思います。
ただ、個体によっては産卵期を逃してしまうとなかなか産まなかったり、産んでも産卵の回数が少なかったりすることもあるようです。繁殖を目指して無いのなら
別ですが、繁殖させようと思われる場合は、時期を逃さないようにするのもポイントでしょうか。
よって、性成熟までになるだけ大きく体力のある個体に育てることが重要ですね。

ペアリングは比較的簡単で、お互いに成熟していれば高い確率で交尾に至るようです。成熟していれば一緒にして数分後には始まってしまいます。我が家では始まるのが早すぎてカメラの用意が間に合わなかったぐらいです(笑)。画像に納めるのなら最初に用意しておきましょう^^

交尾自体の時間は1〜2分ぐらいでした。デジカメを取ってきて、電源入れたときにはもう既に♂は自分の物を舐めてしまってる最中でした・・・・遅かった。なにしろ家が豪邸で広いものですから^^;


妊娠すると雌は食欲が旺盛になります。食べるだけ与えるのですが、カルシウムや栄養剤などの強化も同時に行います

我が家の妊娠中の雌は1日Lサイズのコオロギを2〜3匹食べてます。(食べやすいように&消化を助ける意味でも後ろ足を取って与えてます、)

卵は1cmぐらいの大きさで、6日〜15日おきぐらいに通常2個ずつ産みます。1度の交尾で、2〜10クラッチ(それ以上の時もある)産みます。
レオパのようにクーリングとかも必要なく年中通して繁殖は可能です。ですから産卵マシーンと呼ばれてる方もいるぐらいです(ホントか?)。
ソメワケは寿命が短いと聞きます。多産と言う関係もあるのかもしれませんが、外国の一部のホームページでは長生する種として紹介されてるサイトもあるようです。私は飼育歴が浅いのでこのあたりよくわかりません。

■ 産卵
産卵が近くなると卵がお腹から透けてよく見えます
(←この画像の感じではあと1〜2日で産みます


産卵の1〜2日前になると餌をあまり食べなくなります(我が家だけかもしれませんが・・)。
その後、土を掘り返した跡があると、たいがい産卵してます。卵は並んで産んであると言うことは少なく、1個産んで、また少し離れたところにもう1個と言う感じです。しかも、2個目は別の日に産むこともあります。
埋まってることが多いので卵を引っかけないように表土をはらいながら卵を探します。

卵は上下を変えないように(マジック等で上部に印を付け)取りだして、別の容器に移します。
取り出すときはスプーンなどで軽く掬い上げる方が無難です。箸などで挟んで取り出すことも出来ますが、殻が薄いので慣れないと割ってしまったり、割れなくても目に見えないヒビが入ったりしてダメになっちゃう場合があります。ヒビが最初から入ってる卵はほとんど育たないようです。
私はマジックで印を付けるときに、ブスッとやっちゃいましたよ〜(><)掬う以前の問題でした^^;
あと、ゲージの底とかにくっついちゃってる卵も、ダメですね。取るときに見えないヒビが入っちゃうのか殆ど育ちません。

卵を収納する容器は透明のほうが中の卵の様子がよく見えて良いです。でも、タッパなどでも構いません。蓋、又は容器の横か上の方にキリなどで穴をあけて通気出来るようにしておきます。なお、穴をあけるときは容器の内側になる方からあけましょう。外からあけちゃうと穴の木口が内部に向いてしまって水滴が垂れやすくなっちゃいます。ただ、ソメワケの場合は蓋の裏に水滴が付くほど湿度を高くする必要はないのであまり関係無いかも・・・

卵は有精卵だと、1週間後ぐらいには全体がピンク色になってきます。その後は多少薄い灰色になっていく感じです。
無性卵の場合は色の変化はほとんどないか茶色くなる感じですね。無精卵でもソメワケの卵の場合は凹んだりカビたりすることは少ないようです


容器には赤玉土とバーミキュライトを混ぜた物を2〜3cm敷きその上に卵を置いてます。卵がぐらつかないように、1/3ぐらい埋まってる状態で良いようです。湿度は60〜80%ぐらいでしたが、あまり気は使いませんでした。見て乾燥しすぎかな〜と思ったら隅っこに少し霧吹きする程度です。
保温温度は27〜31℃ぐらいが良いと思われます。
■ 孵化
卵を暖める温度にもよりますが大体45〜60日で孵化します。
我が家の場合は最初30〜32℃ぐらいでししたので、約45日前後で孵化してました。ただ、感じとしてはあまり保温温度が高いと成長不全で孵化率が悪くなるようです。よって現在は29〜30℃に下げてます。
なお、ソメワケの場合卵の保温温度でレオパのような性別の調整(TSD)は出来ません。


参考:TSD
(Temperature-Dependent Sex Determination)・・・・孵化までの温度で性別が決まる種



■ ベビーの育成
産まれたベビーは尾を入れても4cm程度とちっちゃいです。産まれて1〜2日後(脱皮後)から餌を食べるようになります。我が家では自家産のコオロギSSサイズを与えています。まだ産まれて1週間ほどの子でも1日コオロギ3〜5匹食べてます。
ソメワケは地上性のヤモリなのですが、小さいウチは結構壁面を登ります。蓋はしっかりしておいて下さい。

生まれて1〜2ヶ月は床材は無しか、キッチンペーパーなどが良いと思われます。ただ、キッチンペーパーはコオロギが潜り込んじゃうことがよくあり(ソメワケベビーも)使いづらいですけどね。そこで我が家では目の細かいパウダー状の砂を敷いてます。飲み込んでも大丈夫かと言う不安もありますが、生まれた子はすべて順調に成長してますので、今のところ問題無いかと思います。




ベビーと言えどもシェルターは必要です。脱皮の手助けにもなりますし、シェルターに霧吹きをしてやるとペロペロと舐めてくれますよ。それはそれはとてもカワイイです^^
常識だとは思いますが霧吹きの水は冷たい物は×です。

ベビーは個別に管理してます(まだ数が少ないのでいけてますが・・・・・)。やっぱりちゃんと餌を食べているか確認したいのです。
でも、サイズ的に同じような子であれば生後2ヶ月ぐらいまでは混育でも問題ないです。ただ生後3ヶ月ぐらいになると交尾してしまう子も出てくるようになるので2ヶ月ぐらいで♂と♀は分けた方が無難です。
2ヶ月ぐらいになると体長も7〜8cmになりMサイズのコオロギも食べることができるようになります。

ここに書かれている内容は私のところでの方法を紹介しているだけで、すべてが正しいとは限りません。
あくまでも参考にしていただきたく載せております。実際にはご自分の責任において行って下さいネ。